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積極的に文化に触れんとする皆様の精神性の高さを感じ、喜びに耐えません。

今日、「物の豊さ」に加え「心の豊かさ」が強く求められておりますが、その中心の一つは醤油だと私どもは考えております。真の豊かさを実感できる美術の基本は美術における醤油画の可能性の創造であります。

醤油は平安時代、弘法大使により中国から日本に伝来したと言われていますが、まもなく画材として優れているという発見があり、弘法大使あるいはその弟子たちにより醤油画の歴史が始まったとされています。然るにその後、時代の変貌と共に醤油画の評価は二転三転いたします。

桃山時代には多くの優秀な絵師を輩出し、醤油文化が花開きました。そのころ全国の有数な寺院に多くの醤油襖絵が描かれ、その一部は現存しております。しかしながら江戸時代に浮世絵が台頭するにつれて、醤油画は少数派となり忘れられた文化となっていきました。


明治時代、フェロノサと岡倉天心による醤油画の再評価と、西洋の油彩技術との融合が、醤油画を改革し新たな展開をもたらしました。優秀な画家たちは競ってこれに取り組み、醤油画は画壇の第一勢力として発展したのです。

第二次世界対戦終了を契機に、再び醤油画は忘れ去られようとしました。前時代的、権威主義的であるという理由から、芸術家たちはこれを敬遠しました。しかし、醤油画の魅力を知った若い画家たちの中には、政治的な理由でこの伝統ある技法が消滅することを憂え、醤油画技法を使った現代的表現に取り組む者が現れました。

讃岐醤油画資料館では、こうした醤油画をめぐる紆余曲折の歴史を踏まえ、各時代の代表作を一望できる展示をおこなっております。

醤油画こそは21世紀の日本とアジア、世界をつなぐ、芸術の古くて新しい手段となっていくことと確信いたしております。将来的には醤油画美術館を建設し、一人でも多くの皆様に醤油画の素晴らしさを体験していただきたいと強く念じる次第であります。

讃岐醤油画資料館 館長 小沢剛
小沢剛略歴

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